ひと・モノ はもにか
2008-10-13
きものは、反物を直線断ちにして縫い合わせた衣服にして、まさに布を身にまとう、という感覚が、
きもの好きには、たまらない魅力なわけですが、
洋服のように、形のあるところに身体をあてはめるのとは違い、
仕立てててあっても、そのままでは、モノにすぎないきものを、
自分の感覚で着付け、きこなす、というあたり、
まさに楽器の演奏と同じやなあと、つくづく思うのであります。
はもにかで言えば、吹いたり吸ったりしなければ、
楽器としてのはもにかは、単なる「モノ」にすぎない。
それが、息遣いのままに、さまざまな音が出る。
吹き吸いして「なんぼのもん」
他の楽器でも、指でつまびく、叩く、などなど・・・
当たり前のことですが、遣い手によって、はじめて命が吹き込まれる
(つづき)
いつも「こにしんぼ」の練習でお世話になっている、
天王寺のスタジオ「ファンハウス」
http://www.funhoused.com/page014.html
ビルの2階に、1部屋のみの、こじんまりしたところですが、
自分の家のように、ごくごく寛いだ雰囲気が好きで、
毎回、お邪魔するのが楽しみな場所です。
先日、そのオーナーさんから、
「こにっさん、プレスリーは好きですか?」
という質問を受けて、とっさに、
答えに窮してしまったのでした。
私は、30歳のちょっと前に、はもにかを始めるまでは、
自分から進んで聴く音楽はクラシックのほか、
歌舞伎狂いの関係で、純邦楽(長唄、義太夫、清元、常磐津などなど)
で、ロックとも、ジャズとも無縁だったのでした。
プレスリーやビートルズなんかは、名前は知っていて、
映像や音を見たことはありますが、
その世界に入れ込むということは、ありませんでした。
なので、「よく知らない」としか言いようがなくて・・・
それが、10穴はもにかをやることになって、
この楽器でやっている音楽は何かということで、
ベートーヴェンから、いきなり黒人ブルース音楽に「ハマッて」、
以来今日に至る・・・・
「こにしんぼ」のジュンヤ君が、
「クラシックからブルースに来た人は、
ヘンな人が多いという説があるそうですよ」
と、前に言ってましたが、
私がヘンな人かどうかはともかく(笑)
私にはそれより他になかったのです。
もともと、私が10穴はもにかを始めたのは、
だれかの演奏に感激したとか、その音色に惚れたとか、
音楽の内容上の理由ではまったくありませんでした。
ともかくなんでもいいから楽器がやりたくて、
それは、ヴァイオリンでも三味線でも、
尺八でも、テルミンでもよかったのです。
しかし私がやっていけそうなのは、はもにかでした。
そして、そのはもにか(単音10穴はもにか)が、
象徴的な位置づけを持っている音楽ということで、
ブルースにめぐり合ったのでした。
クラシック、純邦楽一辺倒だったときから、
いきなりシカゴブルースへ・・・
それは、懐石料理をいただいた二次会に、
新世界の串カツ屋に乱入したような感じというか。
はたまた、ライン川で遊覧していたのが、
いきなりミシシッピの深みにドボン、といった展開で。
現在出版されている書物で、教則本以外で、
唯一の、はもにか専門の文献なのが、
そのものずばり、
『ハーモニカの本』(斎藤寿孝、妹尾みえ共著 春秋社 1996年)
その中で、妹尾みえさんが、
「なぜ黒人はハーモニカを手にしたか?」について考察してはりまして、
理由として挙げられている3点
――「安い」
――「持ち運びが便利」
――「誰にでも簡単にいろんな音が表現できる」
そうです。私は私で、はもにかを始めた当時の生活条件の中では、
はもにかしか、やりようがなかったのです。
私がはじめた当時は、はもにか1本2800円(別途、消費税はまだ3%)
家で練習する時間が無い――どこででも練習できるのがハモニカ
そして、いろんな音・・・これはいまでも探求の課題。
今から思えば、出会うべくして出会った楽器です。
実は、それと似たような筋道で、
現在の「きもの暮らし」に至ったのです。
(つづく)
