うれしい「通し狂言」(続き)~50歳にして文楽デビュー(8)

 2016-05-21
4月文楽公演「通し狂言・妹背山婦女庭訓」の続き

妹背山


「妹背山」の構成は丸本(原作)通りだと、

初段 大内御殿/春日野小松原/蝦夷館
二段 猿沢池/神鹿殺し/芝六住家
三段 定高館/花渡し/山
四段 井戸替/杉酒屋/道行/御殿
五段 志賀の大内山

ということになっています(岩波・日本古典文学大系「文楽浄瑠璃集」による)。

今回の上演では、ちょと工夫して、

初段の「大内御殿」、四段の「井戸替」、
同「御殿」のうちの「入鹿退治」
五段目はカットした上で、

■昼の部

初段  小松原の段/蝦夷子館の段
二段目 猿沢池の段
三段目 太宰館の段/妹山背山の段

■夜の部

二段目 鹿殺しの段/掛乞の段/万歳の段/芝六忠義の段
四段目 杉酒屋の段/道行恋苧環/鱶七上使の段/姫戻りの段/金殿の段

という組み立てでありました。

「変則」といえばそうかもしれませんが、
昼の部は「久我之助と雛鳥」の話を軸にして、
夜の部は「入鹿退治」(退治の場面はないが)のために必要な
「二種類の血」をめぐる人々のドラマ、ということで、
各部を独立しても楽しめる趣向ということでしょう。


昼の部。

かつて歌舞伎で観た「山の段」は、
その段だけの上演、いわゆる「みどり」でありまして、
見物にあたっては、その段に至る背景は頭に入れていましたが、
文楽で「通し」で見ることで、

「久我之助と雛鳥は、こういうふうに出会い、互いの境遇も同時に知る」

なるほど、こういう「なれそめか」と思うのであります。

さらに強烈だったのは、

「蘇我入鹿は、悪いやっちゃ!」

ということでありました。

父親の蝦夷子を諫めるとみせかけて、
実はその父親をも、

「そんなことでは手ぬるい!」

という感じて、殺してしまって一挙に権力を握る。

大判事と定高を呼び付けて、高笑い、

「やましいことがないなら、久我之助を出仕させ、
 雛鳥を入内させよ」

と、超「上から目線」で言明。

その「悪」は、痛快なほどです(全段の主役は入鹿だという解釈もあり)

クーデターを起こして独裁体制、
恐怖政治をおこなう入鹿。

逆らえば、命はありませんし・・・

そのもとで、大判事・太宰両家と2人の若い男女の悲劇が起こる・・・

「通し」で、そのことが、「ありあり」と分かるのでありました。


次は、いよいよ「山の段」について。

(続く)



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こにし すすむ

Author:こにし すすむ


京都・西陣生まれ。大阪の「勤め人はもにか吹き」です。

木綿を中心に、普段のきもの暮らしを楽しんでいます。

▼2005
FIH JAPAN第25回コンテストブルース部門1位
▼2006~
デュオ「こにしんぼ」などで神出鬼没。「出前はもにか」などで活動中

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