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戦争と歌舞伎 昭和18年大阪歌舞伎座番付から(1)

 2014-07-05
古書店で古い歌舞伎の番付を見つけたら、
できるだけ求めるようにしています。

以前、大阪日本橋・国立文楽劇場向かいの「古本のオギノ」で、
昭和18年(1943年)の大阪歌舞伎座の番付を2冊入手。
同年6月興行と、10月興行のものです。
太平洋戦争中の番付が、どれだけ現存しているのか分かりませんが、
ともかく1冊300円で買いました。

この2冊を手がかりに、当時の歌舞伎や戦争について考えてみたいのです。

昭和十八年番付


2冊とも表紙には、「坂東簑助」の印があります。
後の八代目坂東三津五郎(1906-75)。
出演俳優用として幕内で配られたうち、簑助丈の蔵書だったのではないかと推測。

まず1冊目の「大歌舞伎六月興行」から。

表紙をめくると、見返しに戦艦と軍用機の絵があり、
「護れ我等の海と空」とスローガンが添えてあります。

六月番付見返し


太平洋戦争前の番付だと、この見返しで興行側が、
「憚乍口上」と狂言立てや出演俳優を紹介した文章が載っていますが、
この番付では戦時色に塗り替えられてしまっています。

この番付には別に紙がはさんであります。

別紙


「敬弔 故山本元帥國葬當日
 (五日)ハ哀悼ノ意ヲ
 表シ謹而休演仕候」

「山本元帥」すなわち連合艦隊司令長官・山本五十六はこの年の4月18日、
南太平洋のブーゲンビル島上空で、搭乗機が撃墜され戦死。
6月5日に東京・日比谷公園で国葬が行われることになり、
大阪歌舞伎座も当日は休演としたようです。

この興行は6月3日初日。「5日休演」の紙がはさんであるということは、
番付は初日前後に出回ったものでしょう。

見返しのスローガンは華々しいですが、戦争の段階は、「護れ」どころか、
前年の1942年6月のミッドウェー海戦で日本海軍は空母4隻を喪失。
この年2月には陸軍がガダルカナル島から撤退(戦死・餓死者2万5千人)、
さらに連合艦隊司令長官が討ち取られてしまう状況。

山本の戦死は当時の国民に衝撃を与えたそうですが、
その中で戦意高揚を図る狙いが歌舞伎の番付にも徹底されたということでしょう。


六月番付扉


「大歌舞伎六月興行」の狂言立ては

昼の部

第一「一谷嫩軍記」 
第二「雪暮夜入谷畦道」

夜の部

第一「勢州阿漕浦」
第二「花桐いろは」
第三「玉藻前曦袂」
第四「三社祭」

(15日から昼夜入替)

出勤俳優は

實川延若(二代目・1877–1951)
中村梅玉(三代目・1875–1948)
中村魁車(1875-1945)
阪東壽三郎(三代目・1886-1954)
という関西歌舞伎の大看板に、東京から、
市川壽美蔵(のちの三代目壽海・1886-1971)
さらに中村富十郎(四代目・1908–60)、
中村芝鶴(二代目・1900-1981)、
実川延二郎(のちの三代目延若・1921–1991)、
そして坂東簑助などの顔ぶれ。

「一谷」は現代では「熊谷陣屋」が単独で出ることが多く、
たまに「須磨の裏」「組討」が上演されます。
この六月興行では「通し狂言」としてこの三場の前に、
序幕「敦盛出陣」を付け、話の筋を通してあります。

「花桐いろは」は梅玉のための新作狂言(作・演出は郷田悳)。
(このときが初演でしたが、その後は再演がなく、
1998年に当代梅玉が三代目追善狂言として上演しました。
大阪松竹座での舞台を私も観ました)

番付のページをめくっていくと、各狂言に識者の解説や絵番付があります。

「一谷嫩軍記・敦盛出陣」

敦盛出陣



と、またしてもスローガン

スローガン


これは「雪暮夜入谷畦道」、いわゆる「三千歳直侍」のあらすじに添えたもの。
「戦ひながら建設だ」とは、芝居の内容とは無関係。

「玉藻前」のあらすじページには、「戦陣訓」。

戦陣訓1


「忠孝一本は我が國義道の精粋にして
 忠誠の士は又は必ず純情の孝子なり」

これも、ほとんど芝居とは関係なし。

「三社祭」のページにも「戦陣訓」

戦陣訓2



「流言蜚語は信念の弱きに生ず
 惑うこと勿れ 動ずること勿れ」

これも清元の楽しい舞踊とは、まるで関係ありません。
戦争を遂行する国家が何よりも恐れるのは、
「流言蜚語」というよりも、人心の離反なのでしょう。

(つづく)

コメント
「戦陣訓」。。。「流言蜚語」。。。
まるで娯楽を敵視するんかみたい、人心の離反を防ぐ自信がなかったのか?

グレン・ミラーですら個人的得意技で人心の離反を防いだやないですか。
【2014/07/05 18:03】 | 右京 #- | [edit]












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こにし すすむ

Author:こにし すすむ


京都・西陣生まれ。大阪の「勤め人はもにか吹き」です。

木綿を中心に、普段のきもの暮らしを楽しんでいます。

▼2005
FIH JAPAN第25回コンテストブルース部門1位
▼2006~
デュオ「こにしんぼ」などで神出鬼没。「出前はもにか」などで活動中

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