きもの「官能的」(その2)

 2011-10-13
きもの暮らしで、何が楽しいかというと、私の場合、ひとつには、
きものを打ち合わせて、帯を巻いて、締める、
その一連の動作の間合いや呼吸、勢い、などなど、
「着付け」の感覚が、嬉しいのであります。


帯を後ろ手に結ぶとき、直接、目視で確認はできませんが、
そのときの手の動き、それにつれての、帯の形が、

「見える」


あるいは、


「見えるようになる」


という話を前回書きました。



きものにしても、寸法は自分の体型に合わせて決まっていますから、
身体の中心を意識して、間合いを計れば、
要は、鏡を見なくても、ピタッと決まるように、きものはできているのだと思います。


鏡を見なくても…ということでいえば、
歌舞伎で、そのまま舞台で着替えるという場面があります。
着替えシーン自体が、芝居の重要な一こま、になっています。


すぐに思い浮かぶものでは、

■「仮名手本忠臣蔵」の五段目、早野勘平が「猟師」の姿で帰宅してから紋付に着替える。

■「助六由縁江戸桜」で、助六が「紙衣」に着替える。

■「極付幡随長兵衛」で、長兵衛が水野十郎左衛門の屋敷に向かう前に、紋付袴に改める。

■「傾城反魂香」の「土佐将監閑居の場」、通称「吃又」で浮世又平が、
  免許皆伝となって、裃に改める。

などなど


いずれも、鮮やかに、「サッ」と決まります。



ほかに、芝居の中で帯をほどいて、締め直すというのも。
典型的なのは「心中天網島」、「河庄」の紙屋治兵衛でしょう。
幕切れ近く、捨て台詞を言いながら、角帯の扱いを見せます。


これなどは、上記の着替えシーンと違って、
芝居の筋からいうと、一見無駄というか、どうでもいいような動作で、
さしずめ「わざわざ」やっている、あるいは無意識にやっているというか、
実は、治兵衛なら治兵衛の雰囲気と、演じる役者の持ち味が二重写しになって、
「和事」ならではの味わい、「色気」「官能」でしょう。


手持ちの古い絵葉書から、初代中村鴈治郎の紙屋治兵衛


初代中村鴈治郎



二代目の中村鴈治郎が、小津安二郎監督の映画「浮草」(1959年)で、
旅役者一座の座長「嵐駒十郎」を演じていて、
あわてて階段を降りながら、帯を締める、という場面があります。

明らかに「和事の芸」でしょう。




芝居や映画に出るわけではありませんが、
きものを着るときは、そんなことも思い出しながら、楽しんで着ています。


コメント
>綸子さん

おお、それはそれは。拝見してみたし。

というか、現代社会で、一番よく「和装してる人」はお寺さんですね。



次回、「居酒屋こにし」においでのさいは、
帯を締めながらお出迎えいたしましょう(笑)

【2011/10/14 22:05】 | こにし #- | [edit]
あわてて動きながら帯…で思い出したのは、我が家がお世話になっているお寺さんでのこと、
住居のほうへご挨拶に伺ったときに、家のかたが誰も居なかったのか、住職みずから
「はいはい~」
と奥から、それこそ後ろ手に帯を締めながら出て来られ。

当然といえばそうなのですが、身についた動きなのですよねえ。
あわててるのに、シュッとしてはります。
【2011/10/14 00:08】 | 綸子 #- | [edit]












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プロフィール

こにし すすむ

Author:こにし すすむ


京都・西陣生まれ。大阪の「勤め人はもにか吹き」です。

木綿を中心に、普段のきもの暮らしを楽しんでいます。

▼2005
FIH JAPAN第25回コンテストブルース部門1位
▼2006~
デュオ「こにしんぼ」などで神出鬼没。「出前はもにか」などで活動中

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