「15分・15分」――妻のきもの暮らし(4)

 2011-06-15
お煎茶の稽古は、月3回のペースだったそうです。
妻は、お師匠さんから勧められたとおり、稽古の1時間前に出掛け、
着付けを習うことにしました。
きもの一式は、お師匠さんの自宅兼稽古場に預かってもらっていました。

お師匠さんからまず最初に言われたことは、着付け所要時間の目標。

「きもの15分、帯15分で着てもらいます」


それを聞いた妻や教室仲間は、

「ひぇえええ~、そんなこと、できるんかいな」

と思ったそうです。
いまでは妻は全部ひっくるめて、普段着15分以内で着ることができますが、
「15分・15分」というのは、まったくの初心者向けとしては、
実用上も最低限のハードルだったかも知れません。

お茶席のきものですから、お師匠さんに厳しく言われたのは、
衣紋の抜き具合は「こぶし一つ」、
半襟がきものから見えるのは耳の下の位置からで、
見える分量も、最も見えるところで半襟の3分の1.

いつだったか、刺繍襟はどうかとに尋ねたところ、
「お茶席では無地の白」と戒められたとのこと。

ほぼ年中催されるお茶会。
更衣は、いわゆる「教科書通り」です。

3カ月ほど着付け練習に通う中で、
なんとか目標時間内で、自力で着ることができるようになりましたが、
妻いわく、「いまから考えると、『ともかく着ていた』程度ですね」。

さて、本番のお茶会ともなると、一日仕事。
準備、点前、お運び、水屋仕事、後片付けと、
それを袋帯で立ったり座ったりの繰り返し。
それはまあ、かなりの「重労働」だそうです。


京都・枳殻邸(きこくてい)にて、水屋での片付けの図(80年代前半)。
写真左から3人目、こちらに顔を向けて何やらしているのが妻。


片付けの図


私が、「きものは、しんどなかったですか?」と聞いたところ、
「お茶席では、そういったことを気にしている余裕もなかった」のだとか。

なにしろ、お点前やお運びを務めるときは、
きもの姿での立ち居振る舞いが、
お客さんからも、他の流派の人たちからも、

「それこそ、頭のてっぺんから足袋の裏まで、常に見られているのですから」

気を抜くことはできないし、必死ですね。

それでも「好き」だから続けられることで、
妻本人は、前に書きましたが、習った流派の考え方に共鳴して、
「お茶を習うことが日々の暮らしの基軸になっていた」と振り返ります。

やがて、お茶会や稽古のときだけでなく、
手持ちのきものを着て、一緒に習っている仲間の人たちと、
京都の神社仏閣を訪ねるとか、「甘もの屋」に行くとか、
「きもの遊び」も楽しむようになっていったそうです。


京都・枳殻邸の庭にて、お茶会の合間に煎茶道仲間とともに。


枳殻邸にて



このとき妻が着ていた小紋を、
四半世紀後に娘(写真右)が着るの図(京都・木屋町、豆水楼前)。


豆水楼2



(つづく)



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プロフィール

こにし すすむ

Author:こにし すすむ


京都・西陣生まれ。大阪の「勤め人はもにか吹き」です。

木綿を中心に、普段のきもの暮らしを楽しんでいます。

▼2005
FIH JAPAN第25回コンテストブルース部門1位
▼2006~
デュオ「こにしんぼ」などで神出鬼没。「出前はもにか」などで活動中

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